懸恋-keren-
超短編
2002年8月5日月曜日
ビターチョコレートフレーバー
フレーバーコーヒーという物を妻が買ってきた。
袋にはコーヒー園の農夫と貴族の女の絵が付いている。
「めずらしいでしょ?色々な香りがあってねとりあえずチョコを買ってみたの」
さっそく二人で飲んでみることにした。
それは本当にチョコレートの香りがするが、ほのかに匂いがするだけで普通のコーヒーだった。
「匂いと味がバラバラなのって不思議だね…」
そう言って笑い合った。
「匂いを付けるなんてまやかしだ。無意味な贅沢なんだよ。コーヒーはもとからいい香りがするんだ、これ以上の贅沢はねぇ」
農夫が言った。
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