2002年8月22日木曜日

ある街のものがたり

オレは小さな通りを歩いていた。
数メートル先の地面がむくむくと動きだすのが見えた。
またたくまに亀裂ができて茶色い水が吹き出した。
辺りは大騒ぎになり、誰かが「下水道が破裂したんだ!」と叫ぶのが聞こえた。
オレは違うとわかっていた。
あの液体は汚水なんかじゃない、コーヒーだ。
オレは案外鼻が利く。
しばらくすると、ポットを持ってくる者まであらわれた。
駆け付けた消防や警察も戸惑っていた。
マスコミが喜び、学者は首を捻った。

今ではコーヒーの噴水は整備され、たくさんの人が訪れる。
通りは名所になり、街ができた。