懸恋-keren-
超短編
2002年8月26日月曜日
甘い罠
飲んでも飲んでも減らない極甘コーヒーを「もう飲めません。勘弁して下さい」
と泣きながら飲んでいたらコーヒーカップがぐにゃぐにゃになって、妻になった。
彼女は笑いながら朝食の後片付けを始めた。僕は逃げるように仕事に出かけた。
会社で買った自販機の紙コップコーヒーも笑いだした。妻の声で。
僕は生まれて初めて絶叫した。
自分の声で目が覚めた僕は妻に夢の話をした。
妻が出したコーヒーはいつもより甘かった。
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