誰かが熱帯夜を破って、乾いた涼しい風を入れてくれたようだ。今夜は星が明るい。貴重な夜だから、川沿いを散歩する。あちらこちらで小さな光がひゅっと動く。蛍かもしれないし、超小型ドローンかもしれないし、異星から来たものかもしれない。ずいぶん未来に来たものだ。(126字)
2024年7月14日日曜日
2024年7月13日土曜日
定規 #文披31題 day13
ランドセルから滑り落ちてしまった竹定規は、そのまま旅に出ることにした。故郷の竹林をもう一度見てみたくなったのだ。パタンパタンと立ち上がっては倒れ込み、進む。30cm何回分になったか、ずっと数えていたが、途中で巻尺と知り合って意気投合したらわからなくなった。(128字)
2024年7月12日金曜日
チョコミント #文披31題 day12
チョコミントちゃんは、毎朝すれ違う子。いつも「ミントグリーンとダークブラウン」色の服を着ている。さっきチョコミントちゃんは本物のチョコミントアイスを食べながら歩いてきた。すれ違いざまに「食べる?」と言われた。ミントの香りと甘い声が離れてくれない。(123字)
2024年7月11日木曜日
錬金術 #文披31題 day11
あなたは紅茶を淹れるように金を生み出す。「金属の屑」をポットに入れ、湯を注ぐ。時計の砂が落ちるのを息を殺して待つ。三分後、あなたが妙に優美な動きでポットを揺すり、傾けると熱々の金が溢れ出る。私はそれをつい手で受け止めようとして、いつもあなたに笑われる。(126字)
2024年7月10日水曜日
散った #文披31題 day10
急に降り出した雨に、大勢いた公園の子どもたちは皆いなくなってしまった。まだ遊べると思っている仔が「もーいいよー!」と叫んでみたりする。残念だけど、かくれんぼはもうおしまいだ。人間の子は雨に弱いんだ。そう伝えると、人間には見えない尻尾が寂しそうに垂れた。(126字)
2024年7月9日火曜日
2024年7月8日月曜日
雷雨 #文披31題 day8
雨漏りを直して欲しいと隣の家の老夫婦に頼まれ、脚立を掛けて屋根へ上がることにした。いくら上っても屋根に辿り着かない。眼下の爺さんが米粒サイズになってやっと着いたのは雷様の雲邸だった。「雷雨は程々に」と頼んで酒を酌み交わしている。帰りに脚立を降りるのヤだなぁ。(129字)
登録:
投稿 (Atom)