肩の上のまだ小さい青い鳥を触ってみると、鋭いトゲを触ったような感触だった。思わず「痛ッ!」と言うのと同時に、青い鳥は「ギッ」とも「グッ」ともつかない、聞いたことのない声を出した。青い鳥も痛かったらしい。申し訳ないことをした。
柔らかな石畳の上で慎重に体勢を整え立ち上がった。見た目には立派な街並みだ。少し古風だが趣のある建物が並んでいる。だが、目に入る通りの感触ではないかもしれない。あのレンガや、そこの街路樹、散歩している犬。その飼い主の長い髪。いったいどんな触り心地なのだろうか。
そう思うと何にでも触りたくなって困る。好奇心というより、確かめないと不安という気持ちが強い。
ゆっくりと足の感触を確かめながら街路樹に近づく。樹皮は特別な感じはしない。カンフルの樹に似ているように思う。「ドンナモンジャ」と札がついている。文字は読めるようだ。恐る恐る触れると、犬でも撫でているような感触だった。反射的に一度手を引っ込めた後、ワシャワシャとそれこそ犬を撫でるように幹を撫でた。