2019年7月29日月曜日

優しい石畳

気が付くと墜落の真っ最中であった。こんなに危険な転移は今までなかった。
どんどん地面が近づいてくる。石畳の模様がはっきり見えてくる。青い鳥は助けてくれるのだろうか、鳥なのだから。いや、ポストに入る時に小さくなってしまったから。大きさが戻っているかもしれない。ああ、もう駄目だ。

ぽよん

石畳と思った地面は、柔らかいゴムのような感触だった。トランポリンの、もっと柔らかなところに落ちたような感触だった。優しく、そっと地面に受け止められたような気がした。
しかし、見た目はどう見ても石畳で、触り心地と見た目の乖離が激しい。落ちたままの体勢で、地面を撫でたり押したり何度もしてみた。
ここは、見た目と感触が異なる街なのだろうと思うのだが、混乱が収まらない。

青い鳥は、ポストに入った時よりは少しだけ大きくなっていた。