クラリセージ尽くしの食事の後は、オイルを垂らした風呂にも入った。おかげか、ずいぶん気分がよくなった。
オニサルビアの君は、本棚から古びた写真集を取ってきて、見せてくれた。そこには、この街では決して見ることができない、獣や鳥がたくさん写っている。
それでオニサルビアの君は、青い鳥が「鳥」だとわかったのだ。
「頭で理解しようと思っても、どうしても、空想上の生物、お話の世界の生物だという感覚は抜けきれませんでした。この街の人にこの本を見せれば『空想の産物だ』とか『気は確かか?』と言われるだけです。青い鳥を一目見た時の驚きと喜びを、どう表せばいいでしょう」
青い鳥を見つめてオニサルビアの君は言う。
「この本はどこで見つけたのですか?」と問うと、「廃墟になった図書館の地下書庫で」とオニサルビアの君は言った。
夜になり、小さなベッドでオニサルビアの君と二人で眠った。青い鳥は肩を離れて、オニサルビアの花たちと甘く戯れていたようだった。
朝、クラリセージ尽くしの朝食を二人で取った。
突然、オニサルビアの君はスルスルと服を脱いだ。
「お願いがあるのです。どこかの街へ転移させてください」
青い鳥は、目を見開いて言った。
「消えず見えずインクの者、ここに二者あり!」
「消えず見えずインクの者、ここに二者あり!」