夜中、明日食べるパンがないことに気が付いた。
明日は、パン屋が休みなのだ。
困ったなぁ、と思っていたら、お月さまが「星でパンを作ればいい」と言う。
朝起きて、机の上に並んだ星のうち、一番旨そうに見えたものを、卸金でガリガリ卸した。
ほんの少し卸しただけで、ボールが星の粉で山盛になったので、それを捏ねて、丸めて、火を入れたオーブンに入れた。
オーブンが、なんだか眩しい。本当に星でパンなどこしらえて大丈夫なのだろうか。
芳ばしい香りが漂ってきたら、近所中のノラネコがパンの味見をしにきたので、たくさん作ったのに、ひとかけらしか残らなかった。