建設中の塔に、しっぽを切ってやった黒猫が引っ掛かって下りられなくなったらしい。
しっぽもないのに、どうやって引っ掛かったのだろうか。わからない。
ともかく流星(黒猫に絡まったあの流星だ)が、助けに行けとうるさく言う。
どうやって助けられるのだろう。見上げても黒猫なんか見えやしない。
ぼんやり塔を見上げていたら、お月さまがやってきた。投げ飛ばされたのかもしれない。
月の蓋を開け、身を乗り出し、いつのまにか塔を見下ろしていた。
黒猫が甘えた声で鳴きながらこちらを見上げるが、月から手を伸ばしても届かない。突き落とされたかもしれない。
しっぽを切ってやった黒猫を抱いて、ベッドで寝ていた。黒猫の抱き心地は悪くない。