三叉路の入り口に恋人が立っている。
一番目のルートは、走っていくよ。
二番目のルートは、自転車だ。
三番目のルートは歩いてく。
さぁ、どれにする? って突然言われても困ってしまう。
行き先はどこ? と訊くとにっこり笑って「僕にもわからないんだ」って答えが返ってきたから、また困る。
「どれにする?」
もう一度訊かれたから「ルート3」と応えた。
なんだかよくわからないけど、ゆっくり行こうよ。と、呟いたのが恋人に聞こえたかどうかは、わからない。
手を繋いで、落ち葉を踏みしめて歩く。私も恋人も、何も言わない。時々、風が吹いて、枯れ葉が降る。新しい落ち葉の上を歩くと、音が大きくなる。
この道に、おしまいなんていらない。