懸恋-keren-
超短編
2009年6月12日金曜日
どういうわけか、干からびた。
どういうわけか、枯れない水溜りがあるのである。
東京の、どこかの、アスファルトの上。
どういうわけか、太陽はその水溜りが気になって仕方がない。
太陽は、がんばる。張り切った。
そして、少々張り切りすぎた。水溜り以外全部、干からびた。
田んぼはカラカラ、森はパサパサ。
太陽は反省したので、雨雲を呼ぼうとしたけれど、雲さえも、雲を生む海さえも干からびてしまったから、もうおしまい。
けれども水溜りだけは相変わらず水深1.3センチを保っている。
(213字)
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