2009年5月28日木曜日

クジラのことを考える

溺れるのは苦しすぎるから、ただただ水を飲み込んだ。
海の水は、本当に塩辛い。すぐに飲み込むことも苦しくなった。おなかが破裂する。
「じゃあ、ぼくの仲間になるかい?」
声を掛けてきたのは、海洋性動物プランクトンだった。小さいの。名前は知らない。
わたしは少し考えてから、こう答えた。
「プランクトンになったら、きっとわたしヒゲクジラに食べられるのね。シロナガスクジラがいいな」
もう苦しくない。

(190字)