懸恋-keren-
超短編
2009年5月24日日曜日
魚影
彼の影がチョウチンアンコウ型をしているのに気が付いた時は、とてつもなく驚いた。
けれど、あんまりくっきりとチョウチンアンコウなので、彼の足元にじっと見入ってしまう。
「おや、もうバレちゃったの?」
と彼は笑い、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。影のチョウチン部分がふるふると揺れる。
「水がなくても、大丈夫なの?」
彼にでもなく、チョウチンアンコウ型の影にでもなく、なんとなく呟いた。
(185字)
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