行儀よく並んだ集合写真は、お下げ髪の少女ばかりが二十人ほど映っている。その表情は一様にうつろで、箸が転んでも可笑しい年頃の少女たちの虚無な瞳は、恐ろしい。
「一体、どういうことですか」
と写真を見ながら、目の前の老婆に訊ねる。
「笑うと髪が伸びます。それを校庭のクスノキの枝に結わえ付けられました。見せしめのためです」
老婆が苦笑すると、するりと十センチばかり白髪のお下げが伸びた。すかさず老婆は鋏を入れる。傍らの屑篭には、白い毛が一杯に詰め込まれている。
「笑えば腹が減る。子供に食わす食料などこの地球に残っちゃいない、と先生はおっしゃるのです」
窓の外の赤い地球を見遣る。