懸恋-keren-
超短編
2006年9月18日月曜日
血まみれ胡瓜
「はい」
畑に行ってきた少女に胡瓜を差し出されて驚いた。血まみれなのだ、胡瓜が。
「ちょっと、なんだこれ。手ぇ見せて」
彼女の手は胡瓜を握りしめすぎていくつも傷が付いていた。
「きゅうり、新鮮だったから、痛かった」
胡瓜はそんなに握りしめるもんじゃない、と言いながら
手の傷と比例しない血まみれ具合の胡瓜を不信に思った。
少女がこちらをうっとりと見ている。
オレはそのまま洗いもせず胡瓜を噛った。
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