2006年5月20日土曜日

ルビーが彩る手

彼女の綺麗な紅い爪がマニキュアを塗ったものではないと聞いた時、私は本当に驚いた。
彼女は除光液を染み込ませたティッシュを爪に擦りつけて見せた。
爪は紅いままだし、ティッシュは白いまま。
「母がね……」
そこで彼女は悪戯っ子のように瞳を輝かせた。
「ルビーを食べてたんだって。私がお腹にいる間。金持ちでもないのに、ルビーをどこから調達したんだろうね?だから私は全然信じてないの」
切った爪はどうするの?!と聞いたらなんだか卑しいような気がして、止めた。