懸恋-keren-
超短編
2006年5月16日火曜日
かまびすしいカエル
自転車のサドルで干からびかけていたカエルを風呂に入れ、飯を食わせてやった。
カエルは米搗きバッタのようにペコペコしながら
「一晩泊めて下さい」という。
カエル一匹泊めるのに何の迷惑があるだろう。
「いいよ、ゆっくりしていきな。オヤスミ」
「ありがとうありがとう。おやすみなさい」
翌朝、カエルはカエルの形のまま石になっていた。
慌てて調べると「ユナカイト」という石のようだ。
「おい、お前さんはカエルなのか?ユナカイトなのか?」
と石に呟き掛けると
「ゲーコゲーコ」
と返事した。
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