懸恋-keren-
超短編
2005年8月31日水曜日
ベニ子を探して
ぼくは、褪紅色の小さな足跡を追い掛けた。
「ベニ子、どこまで行ったの?ベニ子、迷子?」
涙目になって妹に訴えられたら探さないわけにはいかない。
セミの死骸の上、輝くボンネットの上、褪紅の点が続く。
その時、まさに褪紅色の影が視界の端を横切った。
「ベニ子!」
ぼくは餌袋を振り回しながら、ベニ子に近づいた。
「にゃおん」
【褪紅 C0M30Y20K10】
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