懸恋-keren-
超短編
2005年7月28日木曜日
ワンナノサウルスと、硬貨
ワンナノサウルスが頭を下げるのは、謝っているわけでもお辞儀をしているわけでもない。
だが、人々は喜んで頭を撫でていく。
中には、拝んでいく人もいる。
小さな子供も、親に促されて頭を触る。
いつの間にか、硬貨を投げる人も出てくるようになった。
「ワンナノサウルスよ、おさい銭、おさい銭」
慌てて財布から硬貨を出す。
ワンナノサウルスは、硬貨が顔に当たるのを嫌がって、頭を下げる。
するとますます硬貨が投げられるので、彼らは頭があがらない。
《Wannanosaurus 白亜紀後期 全長1メートル》
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