ヒプセロサウルスが、ご自慢の青いマフラーをたなびかせて、通りを歩く。
皆がヒプセロサウルスを注目する。
立ち止まって指差す者もある。
手を振る者さえある。
青いマフラーは、近所の雑貨屋「ダイナストアー」の店主がくれた。
「お前さんにプレゼントだ。特別製だよ。長い首に似合うといいんだが」
ヒプセロサウルスは、大層喜んだ。
店主は、続けて言った。
「そうだ。これを巻いて町を歩いてくれた日には、お前さんの好きなキャベツをあげるよ。約束だ」
それが彼に与えられた仕事だと、ヒプセロサウルスは知らない。
《Hypselosaurs 白亜紀後期 全長12メートル》