懸恋-keren-
超短編
2004年4月16日金曜日
て
「てめぇはてっとりばやく鉄砲で撃ってやるから、テキーラ飲んで待ってな!帝王より」
天才哲学者は揺れる鉄道のカフェテリアで、てろてろになった手紙を畳む。その手には長く黒い手袋。手負いの跡だろう。
「てめぇ!てっきり死んだものと思ってたのに」
かつて帝王と呼ばれた男が哲学者に迫る。
しかしその顔は天真爛漫そのものであった。
「天国に行くんだよ、おまえもわたしも」
哲学者は車窓に広がる天界を眺めた。
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