懸恋-keren-
超短編
2004年3月1日月曜日
枇杷
お骨だけになつたおばあちゃまのおへそのあたりには枇杷がありました。
よく熟れたそれを、家族みんなで一口づつ食べました。
とてもおいしかったのに、誰も何も言ひませんでした。
あとに残つた大きな種を庭に植ゑました。
おばあちゃまが生まれた百年後の年、初めての実をつけるでせう。
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