「どうしたんだ?少年。キズだらけてはないか」
ここ数日、ぼくは何度も転んで体中がアザや擦り傷だらけになっていた。
「具合がわるいのか?」
「そんなんじゃないよ」
心配顔の小父さんになるべく陽気に答えた。
「なにかに背中を押される感じなんだ。でも後には誰もいないの。おかしいでしょ?」
小父さんは変な顔をしている。
「ちょうどここだよ、昨日転んだのは」
するとドシンと背中を押されて、なんと3メートル先の地面に叩きつけられた。
怪我はフクロウが治してくれたけど電燈に笑われた。
小父さんはどこかにいなくなっていた。
2003年5月28日水曜日
黒猫のしっぽを切った話
「黒猫だ!」
小父さんはベベを急停車させ、急発進した。
ぼくの身体はガックン、と大きく揺れた。
「どうしたの?」
「あれを追い掛けるぞ」
小父さんの顔は真剣だ。
路地に入り、小さな角をいくつも曲がった。
やがて諦めたのか黒猫は逃げるのをやめた。
「よぉ、182年振りだなぁ」
「もう、勘弁して下さい」
混乱するぼくにむかって小父さんは言った。
「少年、そいつのしっぽを切るんだ」
黒猫はぼくに尻を向けた。
小父さんに渡されたハサミでパチンとやると黒猫は言った。
「これであと200年は生きることになってしまったよ」
小父さんはベベを急停車させ、急発進した。
ぼくの身体はガックン、と大きく揺れた。
「どうしたの?」
「あれを追い掛けるぞ」
小父さんの顔は真剣だ。
路地に入り、小さな角をいくつも曲がった。
やがて諦めたのか黒猫は逃げるのをやめた。
「よぉ、182年振りだなぁ」
「もう、勘弁して下さい」
混乱するぼくにむかって小父さんは言った。
「少年、そいつのしっぽを切るんだ」
黒猫はぼくに尻を向けた。
小父さんに渡されたハサミでパチンとやると黒猫は言った。
「これであと200年は生きることになってしまったよ」
2003年5月27日火曜日
SOMETHING BLACK
小父さんが上着のポケットをごそごそとひっかきまわていた。
「どうしたの?」
「ちょっと見当たらなくて……」
「さっき上着脱いでたから、落としたのかも」
街のカフェでケーキ食べた帰りなのだ。
ぼくはチョコレートケーキを食べ、小父さんはエクレアを四つも食べた。
その後、熱いコーヒーをブラックで飲んでいた。
そのコーヒーを味見してみたけど、熱いし苦いし、もう飲まない。
「で、何が見当たらないの?」
「……黒くて」{失すと一大事}
フクロウが大げさに騒いでみせた。
「そう、大変……。あ、あった」
「見せて!」
「駄目」
「どうしたの?」
「ちょっと見当たらなくて……」
「さっき上着脱いでたから、落としたのかも」
街のカフェでケーキ食べた帰りなのだ。
ぼくはチョコレートケーキを食べ、小父さんはエクレアを四つも食べた。
その後、熱いコーヒーをブラックで飲んでいた。
そのコーヒーを味見してみたけど、熱いし苦いし、もう飲まない。
「で、何が見当たらないの?」
「……黒くて」{失すと一大事}
フクロウが大げさに騒いでみせた。
「そう、大変……。あ、あった」
「見せて!」
「駄目」
2003年5月26日月曜日
2003年5月25日日曜日
2003年5月24日土曜日
IT'S NOTHING ELSE
きのうの晩は別に何もなかった。
小父さんが来て、一緒に街に行ってピーナツ売りの手品を見て
ピーナツ一袋(二十円)とシナモン煙草を買った。
ただそれだけ。
……本当のこと言えば、ぼくの誕生日だったんだけど。
小父さんが来て、一緒に街に行ってピーナツ売りの手品を見て
ピーナツ一袋(二十円)とシナモン煙草を買った。
ただそれだけ。
……本当のこと言えば、ぼくの誕生日だったんだけど。
2003年5月23日金曜日
A CHILDREN'S SONG
嵐の晩。小父さんはぼくの部屋にいた。
「帰らなくてもいいの?」
「こんな日は帰らなくても大丈夫。誰も困らない。」
それからしばらく、ぼくも小父さんもフクロウも黙って窓の外を見ていた。
風がうなり、木々がしなり、雨が地面を叩く。ゴミ箱が転がる音がした。
それはめちゃくちゃなようで、規則正しい。うるさいようで、静か。
「ふしぎだね。」
ぼくがつぶやくとフクロウが言った。
{子供の歌のようだ}
小父さんは何も言わずに煙草に火を付けた。
ミントの香りが広がった。
「帰らなくてもいいの?」
「こんな日は帰らなくても大丈夫。誰も困らない。」
それからしばらく、ぼくも小父さんもフクロウも黙って窓の外を見ていた。
風がうなり、木々がしなり、雨が地面を叩く。ゴミ箱が転がる音がした。
それはめちゃくちゃなようで、規則正しい。うるさいようで、静か。
「ふしぎだね。」
ぼくがつぶやくとフクロウが言った。
{子供の歌のようだ}
小父さんは何も言わずに煙草に火を付けた。
ミントの香りが広がった。
2003年5月22日木曜日
2003年5月21日水曜日
2003年5月19日月曜日
お月様とけんかした話
ベベに乗って夜の遊園地に来た。ぼくは初めて遊園地に来たのだ!
「観覧車に乗ろう」
と言うと小父さんは「高いところは厭き厭きしている」
と言うので
「じゃあメリィゴーラウンドがいい」
と言えば
「ぐるぐる回って何が楽しい」
と言う。ぼくはイライラしてきた。
「おばけ屋敷ならいいだろう!」
「暗いとこなんぞつまらない」
ぼくは半分泣きながら
「何しに遊園地に来たんだよ!」
と怒った。
「ポップコーンを食べに」
ぼくは帰るまで小父さんと口をきかなかった。
別れてから月に瓶の星を投げ付けた。月は真っ赤になった。
「観覧車に乗ろう」
と言うと小父さんは「高いところは厭き厭きしている」
と言うので
「じゃあメリィゴーラウンドがいい」
と言えば
「ぐるぐる回って何が楽しい」
と言う。ぼくはイライラしてきた。
「おばけ屋敷ならいいだろう!」
「暗いとこなんぞつまらない」
ぼくは半分泣きながら
「何しに遊園地に来たんだよ!」
と怒った。
「ポップコーンを食べに」
ぼくは帰るまで小父さんと口をきかなかった。
別れてから月に瓶の星を投げ付けた。月は真っ赤になった。
2003年5月18日日曜日
2003年5月17日土曜日
ある夜倉庫のかげで聞いた話
「少年よ、秘密の話がある。どこか人気のない場所はないか?」
ここだって誰もいやしないよ、と思ったが
おじさんを古い倉庫の裏に案内した。
「話ってなぁに?」
「実はだな…ちょっと待て何か聞こえるぞ」
耳を澄ますと確かに話し声が聞こえてきた。倉庫の前の道を歩く通行人のようだ。
「ばかな事言わないで頂戴」
「オレは見た!月の上がパカッて開いて!人が出てきたんだッ!」
「そんなこと余所で言い触らしたら変人扱いだよ」
「見られちゃったんだね、小父さん」
小父さんはため息をついた。
秘密の話は聞きそびれた。
ここだって誰もいやしないよ、と思ったが
おじさんを古い倉庫の裏に案内した。
「話ってなぁに?」
「実はだな…ちょっと待て何か聞こえるぞ」
耳を澄ますと確かに話し声が聞こえてきた。倉庫の前の道を歩く通行人のようだ。
「ばかな事言わないで頂戴」
「オレは見た!月の上がパカッて開いて!人が出てきたんだッ!」
「そんなこと余所で言い触らしたら変人扱いだよ」
「見られちゃったんだね、小父さん」
小父さんはため息をついた。
秘密の話は聞きそびれた。
2003年5月16日金曜日
ハーモニカを盗まれた話
「上手いもんだな。どうしたんだ、そのハーモニカ」
「拾った」
{錆びている}
「うん」
{出ない音もある}
「いいんだ」
ぼくはハーモニカを吹き続けた。
小父さんとフクロウは静かに夜空を眺めている。
雲が月を覆い始めた。
「こりゃそろそろ帰らないといかんな。雲が厚いと帰りが面倒だ」
小父さんはヒュンと口笛を吹きコウモリを呼ぶ。
「じゃあな、少年」
「ばいばい」
手の中のハーモニカは小父さんがいなくなるのと同時に消えた。
ベソをかきながら部屋へ帰ると
机の上にピカピカになったぼくのハーモニカがあった。
「拾った」
{錆びている}
「うん」
{出ない音もある}
「いいんだ」
ぼくはハーモニカを吹き続けた。
小父さんとフクロウは静かに夜空を眺めている。
雲が月を覆い始めた。
「こりゃそろそろ帰らないといかんな。雲が厚いと帰りが面倒だ」
小父さんはヒュンと口笛を吹きコウモリを呼ぶ。
「じゃあな、少年」
「ばいばい」
手の中のハーモニカは小父さんがいなくなるのと同時に消えた。
ベソをかきながら部屋へ帰ると
机の上にピカピカになったぼくのハーモニカがあった。
2003年5月15日木曜日
2003年5月14日水曜日
2003年5月13日火曜日
2003年5月12日月曜日
2003年5月11日日曜日
2003年5月8日木曜日
2003年5月6日火曜日
2003年5月2日金曜日
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