2009年7月15日水曜日

彼方へ

砂漠の地下には砂の厚さと同じだけの深さの湖があるという。
砂漠の風紋は、鏡のように湖の波紋となって現れる。
砂漠の底が湖底であり、湖底は砂漠の底である。しかし清らかな水は、砂漠を潤すことは決してない。

ここに、砂漠に迷った旅人の亡骸がある。
静かに静かに、砂は旅人を覆い、沈めていく。
何十年経ったであろうか、ようやく砂の底まで沈んだ彼は、事切れたその瞬間の姿のままだ。
湖は、旅人の衣服をじんわりと濡らし、やがて彼を水中に引き入れ、流す。ゆっくりと湖面に向けて浮かび上がらせる。
長い時を掛けて、彼方へ辿り着く。旅人の旅は終わった。

(260字)

2009年7月14日火曜日

祈り

生命の清きも穢れも抱く恒河に、一人の少女が身を浸している。
恒河は、少女のホトから初めて垂れ落ちた血を、自身の一部として取り込む。
下流では、とうの昔に齢を数えるのを止めた老婆が、祈りの言葉を唱えながら沐浴する。
老婆の周囲ではしきりとあぶくが立っている。生命に成り損ねたものたちの叫び。老婆はそれを掌で掬いあげ、天に向けて放ち続ける。

(165字)

このたび、タキガワさんの尊敬する人を務めることになりました、ひょーたんです、こんにちは。
……。
考えてみても、何を尊敬されたのか、さっぱりわかりません。取り敢えず、私は初めて会った時からタキガワさんが好きです(告白)。

2009年7月8日水曜日

早いほうの七夕

昨日、七月七日は満月だった。だが実際のところ、あの夫婦の逢瀬の日はまだ先だ。
でもまぁ、七夕といえば七夕だし、ちょうど満月だし、天の川の水量も程よかったので、月は此れ幸いとばかりに天の川で水浴びをして遊んでいたらしい。

(108字)

2009年7月7日火曜日

膝小僧が二人

傷だらけの膝小僧二人、波打ち際で遊んでいる。
海水に沁みるだろうに平気な顔して遊んでいる。
わずかな血の匂いを、遠くで鮫が察知しているけれど、だからと言って膝小僧たちが襲われる心配はない。
その血は、おいしくないと鮫は知っている。

(112字)

↑意味がわからない。まあ、たまにはいいだろう(たま、か?)

それはそうと、ノベルなびの自分のページをあれこれいぢくってみているのだけども、なんだか難しい。
フラワーツーリズムから行くと「おすすめ」に拙作が入ってます。ありがとうございます。

ついでに、パフォーの投稿作にも、おかげさまでボチボチと拍手をいただいているようです。感謝。10日くらいで投稿締切らしいですよ、パフォー。

近況のような予定のような。
近況:ヘロヘロです。寝てばかりいます。
予定:秋に向けて、ものすごい作ることになりました、豆本。

2009年7月5日日曜日

Acid Rain

狂った子供がどれほど喚いても、世間はちっとも驚きやしない。
酸っぱい雨は、工場の機械をあっという間に錆びさせた。世界中の歯車が錆びても、まだ止まない。
けれど僕のしょっぱい涙を丸めて、飴玉にしてくれるのはこの酸っぱい雨だけ。
君にもあげるよ、犬っころ。舐めにくいなら、ペロペロキャンディだってあるんだ、ほらね。

(152字)

2009年7月4日土曜日

誰も見てないんだけどさ

僕は布団の中では夢を見ない。夢を見るのは風呂の中。ぬるま湯で微睡みながら見る夢に悪夢なんてない。近ごろは、あの子の夢ばかり見る。嬉しいけれど、夢の中でも夢が覚めても僕は裸だから、ちょっと決まりが悪いんだ。

(102字)

2009年7月3日金曜日

七月二日 本当は欲張り

短冊に書きたいことは決まっているけれども、まだ書かない。旧暦の七夕までに叶うかもしれないでしょう? そうしたら、違う願い事ができるじゃないか。

(70字)