2024年10月27日日曜日

#秋の星々140字小説コンテスト 「長」投稿作

同種の者たちに比べて己の姿が不恰好だというのは、薄々気が付いていた。それが長過ぎる触角のせいだとわかったのは、最近の事である。空気の震え、匂い、音、味……数多の情報が触角を通じて入り込み、伸び過ぎた触角は歩行に支障を来たす。体が重い。いっそ昆虫蒐集家に見つかって、標本になりたい。