超短編
この道を歩く時、いつも左手を誰かと繋いでいる感触がある。姿は見えなくとも歩調はぴったりと合う。繋いでいるのは馴染みのある手ではあるが、父でも母でも、恋人でもない。あえていえば、そしてそれはあまり確信を持ちたくないのだが、自分の手だ。