超短編
母から譲られた古い箱型のオルゴール。若い頃の母はここに香水を大事に仕舞っていたそうだ。ぜんまいを巻き蓋を開けると、途切れ途切れの音が鳴る。いくつも歯が欠けていて、本当のメロディーはわからないのに、香りはちっとも薄れない。