歩き始めてすぐに思いついて、×印を目印に砂浜に描いた。
ここが本当に島なのか、どのくらいの広さなのか、確かめるために。
それから、ひたすら砂浜を歩いた。
砂を踏む感触や音、波の様子におかしなところがないか、注意を払う。
青い鳥は肩の上で静かにしている。
砂浜の感触は、変わったところはなかったが、波が気になりだした。
ここに来てからずっと波を見て、波を聞いていたのに、気が付かなかったとは、不覚だ。
波が、速い。太陽が沈む速度、月が昇る速度が速いことに気が付いた時に、わかるべきだったのに。
「歩く」という自分のリズムが、波のリズムと違いに気づかせたのだろう。少し速足にしてみる。まだ波が速い。波に合わせて駆けてみると、すぐ×印に戻ってしまった。