「消えず見えずインクの旅券を持つ者と、相見える者はおらぬか」
「消えず見えずインクの旅券を持つ者と、相見える者はおらぬか」
青い鳥も青い鳥なりに混乱しているらしく、やめろと言っても人探しをやめない。
「消えず見えずインクの旅券を持つ者と、相見える者はおらぬか」
「消えず見えずインクの旅券を持つ者と、相見える者はおらぬか」
己の声が続いて聞こえるのが不思議で仕方なく、やめられないらしい。
「消えず見えずインクの旅券を持つ者と、相見える者はおらぬか」
「消えず見えずインクの旅券を持つ者と、相見える者はおらぬか」
混乱は混迷を極め、青い鳥はポトリと肩から墜落した。
「鳥! 鳥! 大丈夫か」
「鳥! 鳥! 大丈夫か」
「小さな、声で、ゆっくり、話すと、よいですよ」
と穏やかな声が背後から聞こえた。