2015年2月17日火曜日

くゆる


 夜の砂浜で、一糸纏わぬ貴女の姿を遠くから見つめていましたが、すぐに見つかってしまいましたね。
 くちづけ、滑らかな肌の感触……忘れられそうにありませんが、私は貴女の夢に誘われたのだ、と思うことにします。天女のように美しい貴女に、私は夢中でした。
 貴女は「夜の雲は好きですか」と言いましたね。「少し恐ろしい気持ちがします」と答えたのを悔やんでいます。「夜の雲」は貴女のことだったと気がついたのは、日の出とともにあなたが消えてしまってからでした。
 この手紙は、貴女と過ごした砂浜で燃やします。煙になったら、雲まで届くでしょうか。

妄想二人展