懸恋-keren-
超短編
2015年2月17日火曜日
ラブレター
恋人からハガキが届いた。大きな大きな、ハガキいっぱいのキスマーク。
彼女はきっと口紅を何本も使っただろう。そっとハガキに接吻する様子を想像して、ぼくは微笑んだ。
返事を書こう。足の裏に墨汁を塗る。くすぐったくて声が出る。ハガキの上を歩くと右足、左足、右足の足形が付いた。
彼女は、ぼくのこの小さな小さな足が可愛くって仕方がないと言うんだ。
初めて会った日に、彼女の手のひらの上をそうと知らずに歩いていたことを思い出しながら、どっこらしょと切手を貼った。
妄想二人展
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