懸恋-keren-
超短編
2015年2月17日火曜日
子守唄
人魚姫が読むといいな、と思ってこの手紙を書いています。人魚姫さん、はじめまして。ぼくは、つまり「瓶に手紙を入れて海に流す」ことをしたかっただけかもしれません。
手紙を入れたこの瓶は、母が置いていった酒瓶です。僕は残った酒を飲み干して、そしてこの手紙を書いています。人魚姫の歌が聞きたいです。あなたが声を失ったってことくらいは知っています。それでもいいので、この瓶に歌を聞かせてください。子守唄を。
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