2015年2月26日木曜日

囀り

 おとといの朝、小鳥が書き掛けの手紙を咥えて飛んでいってしまいました。出す宛のないラブレターだったのに、まさか君から返事を貰えるなんて。
 君と過ごしたのも、朝でしたね。朝焼けが眩しくて、本当のところ顔をよく覚えていません。長い髪が綺麗だったことと、歌がうまかったことは、覚えています。
 次の朝から、小鳥が毎朝来るようになりました。窓を開けると部屋に入ってきて、僕の頭や肩や手をちょんちょんと嘴で突きます。「もう一度、人の姿になってもいいんだよ」と囁くと、小鳥は囀りをやめて、僕をじっと見つめました。
 この手紙も小鳥に託します。小鳥は今、便箋を覗きこんでいるから、もう君にも伝わっていますね、きっと。ほら、小鳥が驚いたような表情で僕を見つめています。