2017年1月1日日曜日

一月一日 おみくじ

初詣に三十分も並んだのは、ずいぶん久しぶりである。暖かい正月だったから、それほど苦ではなかったが、私の前はタヌキの家族で、後はキツネの家族だったので、化かされやしないかと少々ハラハラしながらの初詣であった。

おみくじを引く。
「大吉」
幸先がよい。気分よくおみくじを結びつけていると、声を掛けられた。

先ほどのタヌキの家族である。「おみくじの字が難しい、読んでくれ」というので、音読する。
「末吉~!」
「油断せず~努力すれば望み叶う~」
私の声は思いがけず高らかに一月一日の神社に響き渡った。そんなに大きな声で読み上げているつもりではないのに、止まらない。
「待人~遅いが来る~」
四つの毛むくじゃらに見上げられて悪い気はしないのが不思議である。