寺の境内にある骨董店にて、書画骨董の修復の講座が開かれている。
私は、知人に連れられてその骨董店に立ち寄り、器皿を物色していたが、いつの間にか修復講座に参加することになっていた。
同行した家族は若い頃にこの講座の講師たちに習ったことがあるらしい。「阪さんは、とっつきにくくて難しそうな人だけれど、慣れると付き合いやすい人。伴野さんはいきなり怒鳴り散らしたりするからどうにも苦手で……」と言いながら、旧知の人を見つけて部屋を出て行ってしまった。
私はすでに受講者で鮨詰め状態の和室から出ることができなくなっていた。受講者に和紙と筆が配られる。満員電車なみに混雑した部屋で、この和紙をどうするというのだろうか。
そうこうすると講師がやってきた。「伴野」という講師は、家族が言っていたように、やたら大声で話し、すぐに怒鳴る。まだ何も始まっていないのに。
なんの説明もなく「和紙をびしょびしょに濡らせ、ただし皺は一切許さない」と指示された。