懸恋-keren-
超短編
2014年3月26日水曜日
三月二十六日 紫
幾万もある紫のうち、今日やってきたのは二色だった。
丁重に迎え入れ、それぞれに水を出す。
二つの紫は、少しずつ水を飲み、その度に紙の上で寝てしまう。
またちょっと目覚めて水を飲み、新しい紙の上で寝る。
そうして出来た紫のグラデーションが二色。濃いの薄いの、薄いの薄いの、儚いの。
並べてやわやわと撫でた。
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