超短編
「十二歳? 歳男か」
ウサギが十二歳になったという。まだほんの子供ではないか、こんなにふてぶてしいのに。
「どうしてウサギの癖に、卯年に生まれなかったんだ?」と問い詰める。
ウサギは「知ったこっちゃない」と、すねてしまった。
「フローズンヨーグルトを分けてやろうと思ったのに」と呟いた声は、春一番にかき消された。