懸恋-keren-
超短編
2014年3月19日水曜日
三月十九日 カワウソの香り
「カワウソに触ったな」と、ウサギが睨む。「どうしてわかった?」
「カワウソ臭い。魚臭い。酒臭い」
どうやら、ウサギにとってカワウソはひどく匂うらしい。自分で手や服を嗅いでみたけれども、よくわからない。
ウサギは臭い臭いと言いながら、ずっとまとわりついてカワウソ臭とやらを熱心に嗅いでいる。
「うん、よい出汁が取れそうだ」と、呟いたのを聞き逃さなかった。
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