超短編
ようやく辿り着いた九階、息を整え外を眺めると、巨大な廃墟が広がっていた。
コンクリートの残骸、剥き出しの鉄骨。錆だらけのショベルカーがあちこちに放置されている。
時が止まったような光景が眼下に広がり、足がすくむ。
「毛が逆立っちまう」珍しくウサギも怖がっている。
春の風も、廃墟には届かない。