超短編
新しい傘は、おそらく有能過ぎるのだ。
雨粒は美しい音を奏でる。
今までに聞いたことのないような音で、雨粒は傘に落ちる。ポタポタでも、ザアザアでもなく、リンリンと。
雨粒はするすると転がる。
目を凝らして見る限り、雨粒はすべて等しい大きさの球体となって、傘の縁まで転がり、そして地面に落ちた。
そして、新しい傘は非常にプライドが高いようだ。
店内に入る時に渡されたビニールの袋を、何度着せても脱いでしまう。