2014年3月20日木曜日

三月二十日 新しい傘

新しい傘は、おそらく有能過ぎるのだ。


 


雨粒は美しい音を奏でる。


今までに聞いたことのないような音で、雨粒は傘に落ちる。ポタポタでも、ザアザアでもなく、リンリンと。


 


雨粒はするすると転がる。


目を凝らして見る限り、雨粒はすべて等しい大きさの球体となって、傘の縁まで転がり、そして地面に落ちた。


 


そして、新しい傘は非常にプライドが高いようだ。


店内に入る時に渡されたビニールの袋を、何度着せても脱いでしまう。