2010年3月9日火曜日

空中花

赤ちゃんが泣いている。
おじいさんが、ひょいと飛び上がって、何かを掴む。
もう一回、おじいさんは、ひょいと飛び上がった。

あ、空中花だ。
おじいさんは、宙に漂う花を捕まえたのだ。
見たことはあるけれど、触れる人は初めてだ。
空中花は、そこら中にあるものだけど、誰もが見えるわけではない。僕も時々見えるだけだ。
おじいさんが手にした空中花は、みるみるくっきりしていく。
泣いている赤ちゃんには黄色い花を。
赤ちゃんをあやすお母さんには赤い花を。
おじいさんは二人に空中花を渡すと、スキップしながら去っていった。
花の香りを残して。

あきよさん
いさやん
砂場しゃん
三里さん