2010年3月20日土曜日

しっぽ

 大事なしっぽが行方不明になった。どうにも落ち着かない。
 風呂場にもない。
 食器棚にもない。
 テレビの裏、抽き出しの中も見た。しっぽだけに、おしりがそわそわする。
 外へ出た。駅までの道を注意深く歩く。
 植え込みに手を突っ込む。やや、この感触は! ……なんだ、野良猫か。
 とうとう駅に着いてしまった。電車に乗り込む。車窓からしっぽを探す。他の乗客も、真剣な目付きで外を眺めている。皆、しっぽが行方不明なのだろうか。同情する。
 線路沿いの看板すべてに、しっぽが取り付いている。どれが私の大事なしっぽなのか、とんと見分けが付かぬまま、最果ての地に辿り着いた。

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500文字の心臓 第93回タイトル競作投稿作
×1

見えた光景3枚を張り付けただけという……(笑)。
たぶん『いとしのロベルタ』佐々木マキ の影響がある。
深読みすると(そこまで深読みしなくても)エロい絵本です。(でも子供用)

砂場さんと両想いだった~。
二年生!二年生!(?)