2010年3月16日火曜日

腹時計

何を思ったか、飼い犬が目覚まし時計を飲み込んでしまった。
お腹を壊すだろうと思ったが、そんな気配はまるでない。獣医は笑って「ここに時計があります」とレントゲン写真を指差し、「きちんと動いていますよ」と聴診器でチクタクを聞かせるのだった。
我が家のたった一つの目覚まし時計をお前は飲み込んでしまったのだ、明日から俺はどうやって起きればいいんだと、懇々と説教を垂れてみたが、飼い犬は尻尾を振ってご機嫌だ。
俺はふて寝し、目覚めたのは、いつもの起床時間だった。飼い犬の腹の中で、目覚ましが鳴ったのだ。
俺は飼い犬に目覚ましを止めるよう頼んだが、飼い犬は機嫌よく尻尾を振るだけ。思わず頭をペシッとやったら、目覚ましは鳴り止んだ。