懸恋-keren-
超短編
2009年8月18日火曜日
夢 第四夜
口角炎が治らない。一言喋ろうとする度に口の端が切れて血が滲み出る。
ハンカチ大のガーゼを折り畳み唇に押し当てる。何度も血液を吸ったガーゼを、洗い、また使う。
斑な赤茶色の染みを作ったガーゼを使い続ける。
そのうち口を開かなくとも、ふいに血がじわりと溢れ出るようになる。洗い過ぎて硬くなりつつあるガーゼが傷に障る。このガーゼを、どこまで汚すことができるかしらと頭のどこかで考えている。
(188字)
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