懸恋-keren-
超短編
2008年6月4日水曜日
恒星
太陽よりも明るい恒星の側に引っ越そうと思うの。
彼女はそう言った。きみは僕を置いて行くつもりだね、と言いたいのを堪えて尋ねる。
「そんな星、どこにあるんだい? その恒星の近くには住める惑星があるの?」
あるよ、ときみは夜空を指した。
あぁ、あの星か……。あそこは最新の光速シャトルでも70年はかかるじゃないか。その頃には、きみはひゃく……。
僕が強く抱き締めても、きみの視線はあの恒星に向いたまま。
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