懸恋-keren-
超短編
2008年6月29日日曜日
ロボット
小島に建てられた鳥かごのような城から、姫は外を眺める。
海にたくさんのヨットが浮かんでいるのが見える。島を囲むようにぐるりと浮かぶヨットは真夏の太陽を浴びてきらきらしている。
すべて自動操縦だ。何のためのヨットか、姫は知る由もない。
「あれに乗ってみたい」と姫は願うけれど、それは叶わない。
「あのヨットは、姫をお姫さま扱いするように出来ていないのです」
と乳母が言う。
それは真実であり、嘘である。
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