一体、ラボラトリーから何が漏れたのか、今となってはわからない。なんの研究がなされていたのか、誰も知らなかったのだ。
ラボラトリーの外壁は三日間でびっしり蔦に覆われた。きっとラボラトリーから漏れ出した何かが蔦に作用したのだろうと、人々は噂した。
窓や壁の亀裂から蔦は内部に入り込み、中の老博士をあやめたらしい。毎朝散歩を欠かさなかった老博士の姿は、蔦がはびこりだして二日目から誰も見ていない。
まもなくラボラトリーから報道各社へ電子メールが発信された。
「伝われ。我ら蔦は、蔦による拙い伝い歩きの研究をしている。研究が成功したら、歩く蔦で地球をすべて覆う。伝われ」