懸恋-keren-
超短編
2008年6月20日金曜日
対話・通信
きみからの通信が入る。暗号化された、たわいもない対話。
毎晩欠かさないけれど、それはそれは楽しみにしているけれど、モニターの向こうにいるのが本当にきみなのか疑ってしまう。
「朝ご飯ちゃんと食べてる?」
と、わたしは聞かずにはいられない。
「モノサシで背中掻いてる」
よかった。けれどこれも毎晩の決まり文句になってきた。
「きんぴらごぼうもつけてくれなきゃ」
「チューリップは切り花で」
私は頬が赤くなるのを感じる。
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