今年も庭木にタマゴがなった。
なんという木かは知らないし、調べたこともない。
この古い一軒家を四年前に買った時から、庭は全くいじっていない。
庭が欲しいという願望はなかったが、条件のよかったこの家には庭があり、木がいくつかあった。
鬱蒼としているわけでもなく、外から丸見えというのでもなく。
私はそれをよしとした。
そして声に出して「よし」と言った。
冬になるとそのうちの一本に白いタマゴがたわわになった。
雪の多いこの土地では、近隣の人々にそれを気付かれることもない。
私はタマゴを一つもぎ、目玉焼きを作った。
私がそれまで食べてきた目玉焼きとなんら変わりなかった。
「よし」と私は言った。
今年も庭の木にタマゴがなった。