道端で拾ったタマゴ。
両手におさまるくらいの真っ白なタマゴ。
あんまり手触りがよかったので
毎日なでなで、ほおずり していたら
ぷきゅぷきゅ
と鳴き声が聞こえた。
どんなにかわいいヤツが産まれるんだろう!とワクワクしていた。
小さなヒビが大きな亀裂となる。
とうとう逢えるんだね。俺をママだと思っちゃうかな?それならそれで、愛情たっぶりに育てるよ。
手をそっと差し出す。すぐにでも触れたいよ。早く出ておいで…。
「どっこいせ。あ゛~」
出てきたのはネクタイの緩んだ冴えない親父。
俺のてのひらの上で欠伸をする父親。
「親父…」
「久しぶりだな、倅よ。逢いにきたぞ」